戸塚 学『スコーロン』フィールドインプレッション
2021.07.13 Update
リピート&アップグレード
着る防虫スコーロン“2021”とともに、北海道の野鳥撮影へ
オシドリ
ケイマフリ
春の日差しが力を増し、「少し暑いかなぁ」と感じる日が多くなると撮影に出る頻度が多くなる。そう夏鳥が繁殖に来る季節ということは野鳥を撮影する私が一番忙しくなる季節だ。
鳥たちが繁殖のために来るということはエサになる「虫」がたくさん出る季節。そして虫は虫でも困った虫たちも出てくる。困った虫とは人の血を吸う連中だ。
しかしここ数年私はこの困った虫たちとあるアイテムで立ち向かうのが楽しみになっていたりしている。それが「着る防虫・スコーロン」だ!
思わぬ勘違いで!
以前から私は3年以上使用したスコーロンウェア(シャツ&パンツ)は通常の作業着として使用している。パンツは少し厚手だがストレッチ素材で丈夫だし、シャツは肌触りがよく薄手なので少し暑いなと感じる日にぴったりなのだ。
5月中旬夕方、定期的に撮影しているトビの巣へ撮影に出かけた。海岸沿いの埋め立て地の葦原に立つ大きな木で繁殖している。巣から距離を取り、車内から撮影をしていたのだがこの日はいつもと違った。飛び回り血を吸う虫が車内にジャンジャン入ってきて撮影に集中できない!
「おかしい・・・スコーロンなのに」ここで気が付いた!しまった、古い奴だった。さすがの着る防虫もさんざん洗いつくされたのでは効果は消えていた。しかし撮影はせねばならず結果はボコボコにやられてしまった。スコーロンを身に着けてからというもの防虫スプレーを車内に準備していなかったこともいけなかった!
2021年北海道の陣
6月に北海道に入るので新しいスコーロンウェアを手に入れた。
帽子 SCシャドウハット
昨年の帽子は後頭部を覆う部分がメッシュになっていて、なおかつ脱着可能になっていてそれはそれでよかった。しかし今年はその部分がメッシュではなくなった。全体的に大きくなっている。付け加えると前部のつばも大きくなっているのでちょっぴり面白いスタイルだ。
帽子の後ろ部分はマジックテープで帽子本体にくっつけることができるので、ザックや機材を担ぐ際に挟まって邪魔だなと感じる時にくっつけると「これは便利」と感じられる。前のつばも動画撮影時にマイクなどがあると邪魔だなと感じるが、跳ね上げればそのまま固定されるので邪魔にならない。
シャツ SCフーディ
昨年とは生地が違うというが、着心地に関してはわからなかった。相変わらず肌触りの良い生地なのにUVカット。うれしいのはこの薄さでも長袖なので「うっとおしい・暑い」と感じるかもしれないが、汗をかいた後に風が吹くと気化熱で超涼しい~と感じるので見ると着るでは大違い。
UVカット生地なので日焼けを気にするフィールド女子にもぴったりだろう。これは合わせ技だが、虫が耳元を飛び交う「うっとおしさ」を感じるときはフードを被ってから帽子を着用すればいい。
パンツ SCチェイサーパンツ
昨年から「シンプルになったなぁ」と感じて気に入っていたので今年もチョイス!フィールドで使うものはあれやこれや機能が付いたものが目を引くが、結局はシンプルイズベストになるのかもしれない。
グローブ SCハーフグリッパー
これも昨年からのチョイス!あまりにも虫の多い場所ではこの指先を狙われるのだが、その時だけは普通の手袋を上から装着して対応すればいい。
やはり最近のカメラはタッチパネルでのカメラ操作が増えた分、裸指で操作できるのはストレスが軽減できていい。意外とこういう小さなイライラが後で大きな問題になる。
ベスト フォトレックマルチレイヤーベスト
スコーロンではないが、カメラマンベストは今まで使っていたものも妻に奪われてしまったので、色違いのものを購入した。注意はかなり大きなものも左右前身頃の大型ポケットに入るが、調子こきまくると重たくなる。ここはあくまでもアタック用として利用したい。
人体実験で比較検証
通常私は一人で取材に出るが、今回アシスタントとして妻を同行させた。妻には申し訳ないが、スコーロンは着させず一般のウェアで同行させた。
千歳市の公園に夕方撮影に入ると森の中の遊歩道にエゾフクロウのヒナを見つけた。早速撮影を始めると・・・隣でないやら手をたたく音が?ふと見ると妻が虫を手で退治している。しかし私には虫たちがまとわりついてこない。妻には悪いがいつ見てもこの光景は優越感に浸ることができる。
撮影後だが、問答無用で私のもう1着のスコーロン上下は妻に奪われることになってしまった。この後の取材では人体実験の比較検証ができなくなってしまったものの、妻の逆鱗をかわすことができたということを考えればこれは致し方ないことだと納得する。
エゾフクロウ
札幌&千歳の公園での撮影では被害は0。その後は北地域の原生花園を転戦したが3か所とも被害は0。ただし被害はないが、夕方になると私たちが知る血を吸う虫よりも大きなタイプが車内に多数侵入してきたが、被害を受けることはなかった。(車内に入ったものは原始的に手で駆除)
天売島では日中林内を歩いて移動しながらの撮影だけでなく、夜間撮影を3日間行ったが、引っ付く虫も飛んで血を吸う虫による被害もなかった。
その後も別海町の野付半島、知床羅臼、根室と転戦したが被害は0。そして最後に札幌の公園でハイタカの撮影をしたのだが、1週間前は飛んで血を吸う虫の姿は見られなかったものがこの日、奴らがわらわらと出た。3~5匹が私の腕、首、腿にまとわりつくが、しばらくするとどこかに行ってしまった。
はっきり言ってこのまとわりつかれている時間はうっとおしいのだが、その後近づいてこなくなる瞬間はある意味スコーロンを身に着けた醍醐味を実感できていい気分だ。3週間という北海道車中泊取材の結論から言えば今年の被害は0!
ウトウ
ハイタカ
以前ハチやアブには効果があるか?と質問を受けたのだが、スコーロンの生地、特にシャツの厚さを考えていただければ、ハチやアブには対応できるほどの厚さはない。着る防虫ではあるが無敵ではないことをご理解いただき使用していただければと思う。
アカモズ
写真家
戸塚 学 | Gaku Tozuka
1966年、愛知県生まれ。野鳥を中心に撮影活動を続ける。現在は野鳥を含む環境の撮影を進め、「きれい・かわいい」だけではない「においのする写真」を目指す。作品は雑誌・カレンダー等に発表。 写真集「鳥たちは今日も元気に生きてます!」文一総合出版 他。
<WEBサイト> Happy Bird’s Day
【お断り】このレポートは事実に基づいて掲載しておりますが、スコーロンの効果効能は使用環境・条件等により、必ずしも保証するものではございませんので、ご理解のうえご活用いただきますようお願い申し上げます。
※一部具体的な虫の名前を“虫”という表現に置き換えて掲載しています。