戸塚 学『スコーロン』フィールドインプレッション
2019.06.20 Update
台湾の虫に最新スコーロンの威力は?
6月上旬に(株)風の旅行社で行われた「台湾ヤイロチョウとレンカクの4日間」に撮影講師として行くことになった。名古屋から台湾への往復の飛行機を含め2日間は昨年の物を使用して、中2日間は今年の新作を身にまとうことで効能実験に臨む。
1日目は関西組の飛行機が遅れたことでギリギリになってしまいチャメオオコノハズクがいるお寺に行くが、とまり場所が悪くあきらめ夕暮れの敷地内で撮影を試みるが昨年の物でも虫に刺されることはなかった。
カンムリチメドリ(左上)、カザノワシ(左下)、チャメオオコノハズク(右)
2日目は早朝から湿度の高い林内でメインのヤイロチョウの出現を待つ。ここであることが判明。参加者4名のうち3名が全身スコーロンを装着していたこと。そのせいか血を吸うためにたかって来る虫が少ないような気がした。ひっついてくる虫や吸着する生き物がかなり喜びそうな環境だが、それらの攻撃はなかった。結局3時間半ほどの滞在だが、私個人的には被害は0だった。
ヤイロチョウ
午後は炎天下の田園地帯にあるレンカクの保護区へ。周辺は稲の田、ヒシの田、ハスの田が広がるある意味大湿地帯といった感じ。保護区は池の前に屋根付きのハイド(観察施設)があり直射日光から守られているが暑さは格別!それでも目の前にレンカクたちがエサを探したり喧嘩をしたり、ヒナたちを連れて歩くのでみなさん撮影に集中している。湿地帯の日陰=吸血君たちの大好きな場所だが、あまりにも暑すぎるためか全く姿を見なかった。これはスコーロンを脱いで実験しなければいけないが、私以外の参加者が全員女性なのでそれは遠慮させてもらった(笑)夕方少し気温が下がってからもまとわりつくこともなく被害0だった。
レンカク
メジロ(左上)、ゴシキドリ(右上)、レンカク(左下)、レンカク保護区(右下)
3日目も昨日同様、早朝から林内に入ったが雨が降っていなかったためか湿度が昨日よりも低く快適だ。しかし湿度が低く快適だからか昨日に比べて虫がたかって来る。シャドウハットは鍔が大きく視界を遮るので外していたがそのせいか視界に虫が入る。そこでシャツのフードを被ると、寄り付かなくなったのはさすが効能ばっちりな「新作」を感じる。帽子に対してはタカの飛翔の時など炎天下などでは有効だが、視界が悪い林内では撮影には厳しいかもしれない。この日もヤイロチョウはよく出現してくれたので1時間早く切り上げたが被害0。その後は周辺の畑・林縁部・川沿いを歩きながら鳥たちを探すが、こちらでも被害0。午後は標高1,500mの場所まで移動したので、今までの蒸し暑さとは打って変わって爽やかな気候となる。台湾でも人気の観光地のようで鳥も多いが人も多い。人が多い=虫も多いはずが、全く気にならない。というか視界にまとわりつく感覚がないのだ。もちろん被害0。
ヤイロチョウ(左上)、エリグロヒタキ(右上)、コンヒタキ(左下)、ミヤマヒタキ(右下)
撮影風景
4日目の最終日も同じ場所で午前中を過ごしたが、この日は帰国する日でもあるので入国時に着てきた、昨年の物を上下で装着したにも関わらず個人的には被害は0だった。このようなレポートは嘘くさいと思われるだろうが、最後まで読んでもらいたい。3日目の夕食は外が涼しいという事もあり開け放たれた場所での食事だった。涼しいし、今までの被害ゼロが当たり前に思えたため、スコーロンを脱いで普通の服で食事をすると席についてすぐに2か所の被害が出た。痒い、痒い。よく見るとあちこちの床に台湾式の蚊取り線香の置台があることを見ると虫たちは少なくないことがわかった。
ズグロミゾゴイ(左上)、スインホーキノボリトカゲ(左下)、タイワンザル(右)
今回は新作と昨年のスコーロンを各2日づつ装着して被害は0だった。しかしスコーロン上下を装着している参加者の1名が6か所ほど被害に遭ったという。よく話を聞けば、3年目の物だという。昨年は2年目でも大丈夫とレポートを書いたが、やはり3年目は効能が少しずつ落ちてくるのだろうか。洗濯回数にもよるがやはり効能は無限ではないので2年を限界にして3年目は虫が少ない場所での作業着にした方が良さそうだ。
次回は北海道レポートになる予定です。
写真家
戸塚 学 | Gaku Tozuka
1966年、愛知県生まれ。野鳥を中心に撮影活動を続ける。現在は野鳥を含む環境の撮影を進め、「きれい・かわいい」だけではない「においのする写真」を目指す。作品は雑誌・カレンダー等に発表。 写真集「鳥たちは今日も元気に生きてます!」文一総合出版 他。
<WEBサイト> Happy Bird’s Day
【お断り】このレポートは事実に基づいて掲載しておりますが、スコーロンの効果効能は使用環境・条件等により、必ずしも保証するものではございませんので、ご理解のうえご活用いただきますようお願い申し上げます。
※一部具体的な虫の名前を“虫”という表現に置き換えて掲載しています。