戸塚 学『スコーロン』フィールドインプレッション

2018.08.01 Update

昨年モデルを着用してスコーロンの洗濯耐久性を検証

 

スコーロン素材のウェアは、20回洗ってもまだ80%以上の防虫効果を維持するというが、1年経ったものはどうだろうか?使えないのか?とても気になるところだ。

 

 

まずは、韓国にて昨年から使用しているものを着用体験してみることにする。そして今年モデルのスコーロンウェアを装着して沖縄本島やんばるの森と宮古島でのレポートをしたい。

 

 

・韓国編

 

韓国には昨年から使用しているシャツ・パンツ・手袋を持って行ってきた。まず、田んぼが広がる田園地帯でヤマショウビンを狙うことに。田畑の周囲には里山が広がり、吸血昆虫テストにはぴったりな環境だったが・・・思ったほどの刺す虫も出ないし、引っ付いてくる虫が居そうな草むらに入ることなく終了してしまった。私以外にガイドを含め5人いるが誰も虫の被害を訴えていなかったので残念ながら期待に反して検証には至らなかった。

 

ヤマショウビン

 

翌日は有名な観光地で、場所違いな6人はカメラや双眼鏡を持って森の中を4時間歩いた。しかしこちらでも虫にやられることが無く、検証ができなかった。これでは何のためにスコーロンウェアを着てきたかわからない。

 

とうとう最終日になってしまったが、ここでようやくスコーロンの威力を感じられた。場所は崖の前に広がる雑木林で薄暗い。ありがたいことに下草も茂っている。崖には巨大なフクロウ「ワシミミズク」が営巣をしているはずだ。はやる気持ちで林内へ草を分けて入ると地面に転がる黒く小さなころころ?鹿のフンだ!どうやらここには鹿がいるようだ。鹿がいる=引っ付いてくる虫がいる可能性が高い。スコーロンのテストでなければ決して喜べる状況ではないが、今回は喜ぶべきだろう。

 

崖が見える場所まで出たら静かに崖を双眼鏡でなめるように観察。これはワシミミズク本体を探すのはもちろんだが、崖に着いたフンの跡を探すのだ。崖に付着した白いフンが多い=周辺に巣や本体がいる。

 

ワシミミズク

 

「いた!」隣の友人が声を上げる。見ている場所を凝視すると崖にしっかりと溶け込んだワシミミズクが黄色い目でこちらを見ていた!他の仲間を呼んで撮影を開始すると、いつの間にか私の周囲に大きな刺す虫が10匹ほどまとわりついている。手で払いたいところだが今回は検証なのでじっと我慢する(笑)。

 

数匹がシャツやパンツにとまるが、せわしなく歩き回る?どうやら刺せそうなところを探しているようだが刺して来ない。10分ほどすると私の周りから次々と虫が姿を消してゆく。結局1か所も刺されることなかった。1時間ほど撮影して下に降りると2名がパンツに虫が付いてると言って払い落としていた。私も老眼鏡をかけてしっかり探すが、虫の姿を確認することはなかった。

 

韓国では昨年モデルのスコーロン素材のシャツ・パンツ・手袋・帽子を持って行ったが、最後のワシミミズクの崖では曇りという天気もあり帽子を被らなかったものの1年前から使用しているものでも十分効果があると実感!

 

キタリス(左上)、カササギの親子(右上)、ダルマエナガ(左下)、人気の観光地の森(右下)

 

 

・沖縄やんばるの森編

 

私は10年以上、沖縄北部の森に棲む「ヤンバルクイナ」の取材を行っている。今回はNPOどうぶつたちの病院に聞き込み取材を行った後、やんばるの森へ入った。やんばるの森には毒蛇の「ハブ」がいるのでむやみやたらに踏み込むことができない。さすがのスコーロンでも毒蛇ハブには効き目はないだろう(笑)

 

ヤンバルクイナ

 

そこで私はいつも「やんばる学びの森」のトレッキングコース「ヤマシシコース」を利用している。韓国に続きこちらもまずは昨年モデルのシャツ・パンツ・手袋・帽子でチャレンジ。本来なら森に入ったとたん虫の洗礼を受けるが・・・来ない。しばらく歩き、沢の上に作られた木造のデッキで休憩しているが虫が近づかない。これはとても気分がいい!往復2時間30分、森の中をうろついたが虫に刺された箇所は0!こちらでも1年前から使っているスコーロンウェアでも十分威力があることを実感できた。

 

やんばる学びの森「ヤマシシコース」

 

翌日は今年モデルの”新品”スコーロンを身にまとい「ヤマシシコース」に突入。帽子だけは昨年からの物だが、他のシャツ・パンツ・手袋は今年の新作。結果だが、昨年の物でも十分効き目があったのでここで書くこともないだろう。

 

2018年モデルを着用

 

かわりに書いておきたいのは毎年地味ながら改良が加えられていることだ。今回はパンツと手袋が新作で、特にパンツは目を見張る改良があった。それは履くときに気付いた。足を突っ込むと足が入らない???なんだと思いながら「ぐいっ」と足を突っ込むと抵抗を感じたのち入った。裾をめくるとその理由がわかった!なんと裾の中にゴムのストッパー付きのインナーカフスが付いている。これは裾から侵入する虫には有効だろう!特に小さな虫には威力がありそうだ!

 

パンツの裾の中に虫の侵入を防ぐ仕組みが付いた

 

手袋に関しては昨年の物は肌触りが良く、もう少しぴったりフィットしてくれれば言うことが無い。今年の物は少し生地も変わりフィット感を増すことと手のひら側にプロテクターのようなものが付いたのはいいことだが、問題は手袋の脱着口が狭く手を入れにくい。

 

手袋とシャツの袖口

 

さて、やんばるの森では1か所も虫に刺されず帰ることができたと書きたかったが、やはりレポートは正直に書かなければいけない。フィールドでは気を付けていても里に下りてくると気が緩む。じつは1箇所だけ刺されたのだ。それは夕食を食べている時だった。スコーロンのシャツを脱いでTシャツ1枚で食べていた時に・・・やられた!パンツはスコーロンを履いていたので刺されてはいないが、シャツは脱いで普通のTシャツ1枚でいたので腕を1か所刺されてしまい、痒い思いをした。

 

アカヒゲ(左上)、オリイオオコウモリ(右上)、リュウキュウオオコノハズク(左下)、ノグチゲラ(右下)

 

ヒカゲヘゴ(左上)、リュウキュウイノシシ(左下)、オキナワキノボリトカゲ(右)

 

 

・宮古島の森編

 

初めてスコーロンウェアをテストしたのが3年前の春の宮古島。今回は真夏の森の中での実証です。

 

宮古島でのスタイル。水場以外ではマスクは外していた

 

森に入る駐車場に車を停めてドアを開けるとすでに虫が寄って来る。しかしスコーロンアイテムに身を包んだ私には寄って来ない。現地に入って池で水浴びをする鳥たちを待つのだが、スコーロンを着ていない参加者はなんと20か所以上も刺されたと嘆いていた。私のほかにもスコーロンを着ている人は被害が少なかったようだ。ちょっぴり感じたことだが、毎年新作のスコーロンのパワーがアップしているような気がする。3年前は上下で着ていてもそれなりに虫が寄ってきたような気がする。結果的には今回は虫に刺された被害は0だった。

 

森の中に造られた鳥たちのための水場(左)、水場の周りの森の景色(右)

 

水場の横でブラインドを張って撮影をする

 

今回は引っ付いてくる虫がいた場所は韓国だけだったし、せっかく新しいパンツの機能を実感できる小さな虫のいる場所に行かなかったが、虫よけスプレーや蚊取り線香を使わず被害が無かったということは、ますます手放せないアイテムと実感。また必要以上に洗わなければ翌年でも十分使えるので2着持っていれば快適な撮影ライフを送れるだろう。

 

美しい海を飛翔するベニアジサシ&エリグロアジサシ(左上)、水浴びにやってきたオオクイナのオス(右上)、夜の森のリュウキュウコノハズク(左下)、水浴びに来たリュウキュウアカショウビン(右下)

 

 

 


写真家・戸塚 学(とづか がく)

1966年、愛知県生まれ。野鳥を中心に撮影活動を続ける。現在は野鳥を含む環境の撮影を進め、「きれい・かわいい」だけではない「においのする写真」を目指す。作品は雑誌・カレンダー等に発表。
写真集「鳥たちは今日も元気に生きてます!」文一総合出版 他。
<WEBサイト> Happy Bird’s Day

 

 

【お断り】このレポートは事実に基づいて掲載しておりますが、スコーロンの効果効能は使用環境・条件等により、必ずしも保証するものではございませんので、ご理解のうえご活用いただきますようお願い申し上げます。
※一部具体的な虫の名前を“虫”という表現に置き換えて掲載しています。