戸塚 学『スコーロン』フィールドインプレッション

2017.07.18 Update

今年も国内外様々なフィールドで着続けているスコーロン。その防虫効果は如何に!?

 

昨年から使い始めたスコーロン。今年もまたシーズン到来だ。まずは昨年使用したもので5月後半に行った台湾での感想を書いてみたい。

 

・台湾編


昨年の台湾は非常に暑く体力を消耗したものの、さほど虫にやられることが無かったので大したことはないだろうと思っていたが、今年は打って変わって非常に蒸し暑く、虫の発生も多かったように思う。 若いころは耳元で聞こえる「プ~ン」という羽音もこの年になるとあまり聞き取ることができないせいか知らぬ間に刺されていることが多い。上下スコーロンを装着している部分は刺されることはなかったものの、露出している手と顔は結構刺されてしまった。羽音が聞き取りにくいというのは=顔を刺されやすくなるということになる。

 

キンバト

 

わざと虫よけスプレーなどを用いないのは、どれほど効き目があるのかを確かめたいからだが、それにしても手や顔など刺された場所はかゆくて仕方なかった。私が虫よけスプレーや蚊取り線香を持っていない姿を見てさぞかしお客さんたちは不審がるだろうと思ったら?なんと参加者7名中4名がスコーロンを装着していたのだ。これにはびっくりした。


私を含めスコーロン装着者で誰一人刺されることが無かったと書けば「すごい!」となるが、実際はスコーロンを装着していても刺されてしまっていた。露出していない場所でも刺されるとはどういうことか?それは皮膚にピッタリとフィットしている箇所がやられたようだ。もう一つは全員が昨年に買ったもので新品でないことも若干効き目が悪くなっていたのかもしれない。それでも蚊のたかり方は虫よけスプレーだけの人たちよりも少ないことは確かだった。
*一応20回洗っても効き目が続くということだが、昨年洗濯をしたのは10回もなかったことから1年経ってもまだそれなりに効果はありそうだと実感。

 

 

・北海道編


2017年6月7日~28日まで北海道取材に出かけ、スコーロンを装着した。今回は新製品でより効果が高いものを装着。前回台湾で露出している手をこっぴどく刺されたことからグローブも標準装備とした。しかし現地に入って問題が発生。今年の北海道は異常に寒く、天候不順。寒い=虫が出にくいのだ。刺されないのは快適でいいが、人体実験的には面白くない。北海道ではいつも悩まされる、あの虫たちにいかほどの効果があるかを確かめたかったのだが・・・。

 

 

私的にスコーロンのパンツは裾を切らないことにしている。それはフィールド用の軽登山靴はハイカットなので裾を靴に被せるように使用している。これだと裾から侵入する虫たちをかなり防げるからだ。脱いだ時に邪魔になれば折り曲げている。またスコーロンのパンツはストレッチ素材のため窮屈に感じないし、裾が靴にフィットするのもうれしい。色に関しても今回はグレーを選んだのは虫が付着している時に茶色よりも見つけやすいと思ったからだ。

 

 

上着は昨年のシャツタイプではなく、メッシュ地の薄いパーカータイプ。最近アウトドア用の服ではやりの袖に穴が開き親指が出せるタイプ。これがうれしいのはグロープをはめた上から親指を出すと手の甲をすっぽりと覆いフィットさせることができる。これならあの小さな白い悪魔の侵入を防げる。

 

 

毎日スコーロン上下で撮影に出かけていたが、寒いので上にダウンジャケットやフリースを着てしまいなかなか虫に襲われることが少なかった。しかし野付半島で太陽が顔を出し急に気温が上がった時だ。米糠のような物が目の周囲に入った。あいつだ。以前のようにまとわりつくというより若干こちらとの距離を置いているように感じる。そして手も足もしっかりとガードされているせいか?刺されることはなかった。問題の顔も首まで覆っているフードのせいか?こちらも刺されることはなかった。

 

キタキツネの親子 子供の虫を取っているのだろうか?親には虫が付いている

 

キタキツネやエゾシカを撮影していると耳に虫が付いていることから「あの虫のいる場所」だということは理解できた。こういう場所ではちょっとした草に触れるだけでくっついてくる。さすがに無意味に笹薮でヤブこぎなどはしなかったものの、虫が衣類にくっつくこともなく、噛まれることもなかった。できればもう少し虫たちのいるシーンが長ければスコーロンの威力を熱く語ることができたのだが、残念だった。

 

ベニマシコ

 

タンチョウの親子

 

・沖縄宮古島編


2017年7月6日~12日まで昨年同様、宮古島の水場で実践した。さすがに今回は7月ということもあり虫の発生がすごい。それは近くで撮影している人が「ぱち、ぱち」と手をたたいて退治していることで分かった。しかし私の方は数匹が寄ってくるもののしばらくするといなくなる。これはいいぞ!と感じていると手の甲の指の部分を刺された!そうだ、シャツの指出しをしていなかったのでカバーされておらずやられてしまったのだ。

 

オオクイナの水浴び

 

その後はカバーをしたので大丈夫だった。また初日はわざとパーカータイプのシャツの下に下着を着けずに着たので肌にフィットする肩と腕に各1か所づつ刺された。というわけで初日の実験では合計3か所刺されたことになる。今回は台湾でも使用した昨年の物を同時に使用したが、さほど効果の違いは感じられなかった。

 

リュウキュウサンコウチョウ

 

スコーロンの衣類をハンガーにかけている場合はあまり感じないが、脱いだまままとめておくと「妙なにおい」がする。最初はこれが防虫効果だと思っていたのだが、聞くところによると防虫剤は無味無臭で、においの元は防虫剤を生地に固着させる際のバインダー剤というものによるものらしい。ちなみに、このにおいは装着している場合は全く気にならないので他の人たちに迷惑をかけることはないはずだ(笑)。

 

 


写真家・戸塚 学(とづか がく)

1966年、愛知県生まれ。野鳥を中心に撮影活動を続ける。現在は野鳥を含む環境の撮影を進め、「きれい・かわいい」だけではない「においのする写真」を目指す。作品は雑誌・カレンダー等に発表。
写真集「鳥たちは今日も元気に生きてます!」文一総合出版 他。
<WEBサイト> Happy Bird’s Day

 

【お断り】このレポートは事実に基づいて掲載しておりますが、スコーロンの効果効能は使用環境・条件等により、必ずしも保証するものではございませんので、ご理解のうえご活用いただきますようお願い申し上げます。
※一部具体的な虫の名前を“虫”という表現に置き換えて掲載しています。